水曜日は特になにもない。
週末までには まだあと2日もある と思う反面、もう半分過ぎてしまったと、変わりばえのしなかった週の走り出しに少し後悔をくり返すくらいで。
しかし、この水曜日はちがった。実家のねこが死んだのだ。18年かっていた“ちゃちゃ”だ。当時もともと家にいた母ねこが3匹の子ねこを産んだ。4匹もかえない我が家は、子ねこをペットショップに引きとってもらうことにした。連れていった店先で「この子はいいです」とかえされたのが
ちゃちゃ である。メスのミケねこで、鼻から口の左側にかけて茶色のブチがあり、少し目がすわってみえる。声はダミ声で、確かに子ねこにしては可愛げのない
ねこであったかもしれない。本人が知れば まちがいなくコンプレックスになったであろう一件である。
しかし、イケメンでなかったおかげで ウチに残ることとなり、父からまさに
ねこっかわいがりされるのだから、人生(猫生というべきか)は分からないものである。
そして最後のとき、定位置の父の足元に寝た ちゃちゃ。夜中に父がトイレに起きると、顔をあげ 短く ニャン となく ちゃちゃが
顔をあげない。違和感があり 父が ちゃちゃをさわると、すでに動かなくなっていた。いつものように自由に過ごし、いつもと変わらず寝床について、そのまま
眠るように 逝ったのだ。理想的な死に方である。外見には恵まれずとも、幸せだっただろうな
と思える ちゃちゃの一生であった。
昔を振り返り、別れのさみしさににじむ 水曜日であった。
筆名:クリハラ アヤコフ 年齢:41 都道府県:熊本
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