水曜日は仕事のシフトでよく休みが入る日。
2人の娘がいる私の週末は、せがまれて家族サービスするのがほとんど。
だから週の真ん中に1人の休みがあるとウキウキする。
好奇心旺盛な自分は1人でどこでも出かける。
一週間の真ん中までの自分を労ったり、真ん中からの活力を蓄える。
出かける時はあまり人の多い所は好まない。
感性に訴えかける場所、人の温もり、自然のチカラを感じる安らぐ場所を探し求めて、一時の間自分を見つめ直す。
先週の水曜日の出来事、あてもなく出かけたが、何故か普段は行かないような大型ショッピングモールになんとなく入ってしまった。
目的も、理由もなにもなくいつの間にか入ってしまった形だった。
個人的には、人も多いし、こういう場所は規格的で、事務的で、人の自然な関係性を感じないから正直苦手な場所だ。
しかし、せっかく来たから新年度からのスケジュール帳を探そうとぶらぶらしていた。
すると、ずーっと前に付き合いのあった女性にばったり会った。
風の噂では結婚して、私の住む場所から遠く離れた北国に移り住んでいると聞いていたのでビックリして、つい挨拶をしてしまった。
今となれば笑ってしまうような子供みたいなケンカ別れだったけど、お互いもういい大人。
戸惑いながらも、近くのコーヒーショップの香りに誘われて一杯だけ付き合ってもらった。
「元気にしてた?」「どうしてた?」「いつ帰ってきたの?」「今は何をしているの?」…
聞きたいことは10年分あった。
彼女は偶然、旦那さんの出張で近くに来ていたようで、来月にはまた遠くの街に帰るようだ。
彼女も結婚して、子供もいて、仕事や生活に多少の不満はあっても普通に幸せに暮らしている。
そういう時間を過ごしていると勝手に思っていたが…
彼女は結婚してからしばらくして命に関わる病に侵されていた。
癌だった。
摘出手術をして、その後転移もあり、化学治療法で入退院を繰り返していたようだった。
今では元気に昔の話と笑いとばしていた。
私の知らない空白の時間がどれだけ辛く、重く、濃い時間だったかと思うと胸が痛い。
しかし、同時に、元気に笑いとばす彼女をみて、ホッとした気持ちも生まれてきた。
こんなに強く、しっかり前を向いて、何より支えてくれる人達がいて、今をしっかり生き、喜んでいる充実感が伺えた。
…これから先、オレらはきっともう会う事はないと思うけど、なんとかお互いしっかり生きていける!そんな気がする一時を過ごせた。
人の自然な関係性を感じないと思っていたショッピングモール
ほんの少しの時間だったけど、普段行かない場所で、何か魔法がかけられたように偶然が重なって、彼女と出会えた水曜日は、私の活力になる特別な日になった。
さてと…オレも前を向いていこう。
魔法のショッピングモールありがとう。
今日はどんな場所で、どんな時間と出会っていますか?
では、よい水曜日を!!
筆名:なし 年齢:34 都道府県:熊本